USB接続のHDD等をLinuxにマウントしてSambaで共有する方法
知人がraspberry piでファイルサーバーを作るのになかなか難儀していたので協力することになった。
もう何年の前にLinuxでSambaを使ってファイルサーバーを作ったことがあった私だが・・
「USB機器をmountしてSambaをインストールし、smb.confをちょちょっと書き換えれば出来るな!…」などと安易に考えていたのでしたが、なんと!!なかなかインストールが先に進まない。
簡単にWindowsのネットワークを開けば共有ファイルが見えるようにはならないんです。
それに、いつの間にかWindowsの仕様??が変わってしまって表示しない!動かない!!
そんな訳で、またも覚書です。
まずはUSB機器のマウント
まずはUSB接続でHDDをmountしてみることにする。
1. USBデバイス名を調べる
USBを未接続の状態と、接続状態の両方それぞれで以下のコマンドを入力
$ ls /dev/sd*
結果の違いから、USBのHDDは /dev/sda1 というデバイス名だとわかった。
他に調べる方法として簡単な方法としては
$ sudo blkid
と入力し、出力された以下の文
/dev/mmcblk0p1: LABEL_FATBOOT="bootfs" LABEL="bootfs" UUID="EF6E-C078" BLOCK_SIZE="512" TYPE="vfat" PARTUUID="ea92b713-01"
/dev/mmcblk0p2: LABEL="rootfs" UUID="4aa56689-dcb4-4759-90e6-179beae559ac" BLOCK_SIZE="4096" TYPE="ext4" PARTUUID="ea92b713-02"
/dev/sda1: LABEL="HDD" BLOCK_SIZE="512" UUID="B99A73D38A628E26" TYPE="ntfs" PARTUUID="e27dbb85-01"
/dev/sda1: LABEL=”HDD” BLOCK_SIZE=”512″ UUID=”B99A73D38A628E26″ TYPE=”ntfs” PARTUUID=”e27dbb85-01″
ここがUSB機器情報なのでこれを使います。
ちなみにUSBメモリなら
/dev/sda: UUID=”C51E-E72D” BLOCK_SIZE=”512″ TYPE=”vfat”
などと表示される
特にこれらの情報では、UUIDとTYPE(フォーマットのタイプ)が重要です。
2. 自分のIDを調べておく
$ id
現在ログインした自分のユーザー名myuserのuid とgidがわかります。
uid=1000(myuser) gid=1000(myuser) groups=1000(myuser)….
3. 試しにmountしてみる
まずmount先のホルダ /share を作ります。
場所はどこでも良いのですがテストなので書き込み権限などの問題が起こらないように自分のホームの/Publicホルダに/shareを作ってTESTします。
$ mkdir /home/myuser/Public/share
そこにUSB機器 /dev/sda1 をマウントすることとします。
しかし、すでにUSB接続したときに自動で外の場所にマウントされているので、いったんアンマウントして、再度マウントしなおします。
$ sudo umount /dev/sda1
$ sudo mount -t ntfs-3g -o owner,uid=1000,gid=1000,utf8 /dev/sda1 /home/myuser/Public/share
エラーが出なければOKです。
このNTFS フォーマットのドライブを認識させるには、予め ntfs-3g
というパッケージをインストールする必要があるかもしれません。その時は以下説明に沿ってインストールしてください。
詳しくは、ネット上の他の文献を参考にしてくださいね。
mount -t ntfs-3gの説明
コマンドのオプションには以下があります。
ext4 Linuxのファイルシステム
ext2,ext3 少し前のLinuxのファイルシステム
msdos MS-DOSのファイルシステム
vfat FATのファイルシステム
iso9660 CD-ROMなどの光学ディスク全般
ntfs-3g NTFS
ただし、NTFS フォーマットを扱うために ntfs-3g を使用する。
インストールされているか確認。
$sudo dpkg -l | grep ntfs-3g
もし、インストールされていない場合は、インストールする。
$sudo apt install ntfs-3g
nfs ネットワークファイルシステム
など、フォーマットの種類で書き換えます。
-o owner以下の部分はマウントされたファイルシステムの権限を持つ者のuid,gidです。
もちろん自分のホームディレクトリに作ったのだから、扱いやすいように先程の自分のuid,gidを入れましょう。
エラーがでなければOK mount出来ることがわかった。
マウントを自動起動でするように組み込むのはsamba設定後にする。
Sambaの設定をする
1. Sambaをインストールする
インストール説明は他のサイトにまかせてインストール終了したとします。
sambaをインストールしたなら次の再起動コマンド、Linuxの種類によりもよります
$ sudo systemctl restart smbd
または
$ sudo service smb restart
おおまかにどちらかのコマンドで再起動出来ます。
なにもエラーなくコマンドに戻ればインストールはOK
2. Sambaの設定を開く
$ sudo nano /etc/samba/smb.conf
必要のないオプションもあるかもしれないが、とりあえず無ければ追加する
[global]
dos charset = CP932
netbios name = raspi4
security = user
wins support = yes
browseable = No
# 以下の1行をglobalに追加しておけば余計な[nobody]共有が表示されなくなる
browseable = No
[homes]
comment = Home Directories
#homesは必要無いので今回は非表示に!!
browseable = No
guest ok = no
read only = yes
[share]
#今回はここを共有。誰でも読み書き可の設定
comment = Share
path = /home/myuser/Public/share
force user = myuser
security = user
force group = myuser
force create mode = 0777
force directory mode = 0777
guest ok = yes
read only = no
browseable = yes
writable = yes
#アクセス権のないものは表示しない設定にするために次の1行追加
hide unreadable = yes
再起動コマンドを打ってsambaを再起動する。
自動でマウントするようにするには
電源を入れたときにマウントを自動でさせるには、おおまかに2種類あります。
ひとつは、/etc/fstab に書き込んで最初からroot権限でマウントする方法
もう一つはOSが起動した後、/etc/rc.local からマウントさせる方法があります。
2つを比べるとサーバーとしてCUIで起動するならfstab起動が良いと思います。
GUIでいつも決まったユーザーで起動しているなら rc.local に書いても良いでしょう。
そのままmountコマンドを書き込めるので簡単です。
fstabに書き込んだ場合は、入力ミスがあったらOSそのものが起動しないなんて事が経験上何度かあったので慎重な書き込みが必要です。どちらが適しているかは使い方次第です。もっともCUI起動ならfstab一択でしょうけどね。
rc.local での自動マウント処理方法
$ sudo nano /etc/rc.local
と入力し開きます。
#!/bin/sh -e の下の行にmount設定を追加しましょう。(#はコメントアウトですので無視されます)
先程のマウントコマンド文字をそのまま入れます
mount -t ntfs-3g -o owner,uid=1000,gid=1000,utf8 /dev/sda1 /home/myuser/Public/share
#!/bin/sh -e
##vfatフォーマットのUSB memoryの時は以下のように
##mount -o owner,rw,uid=1000,gid=1000,utf8,flush /dev/sda /home/myuser/Public/share
##今回はNTFSのUSB HDDなので以下のように
mount -t ntfs-3g -o owner,uid=1000,gid=1000,utf8 /dev/sda1 /home/myuser/Public/share
#
保存してLinux を再起動します。
これでWindowsからアクセスしてみる。すぐにはネットワークに現れないときがある
その時はwinパソコンも再起動すると現れると思います。
fstab での自動マウント処理の方法
今度は先程とマウント場所を変えます。root権限で予め/mnt/samba/hddというホルダを作っておきましょう。そこにmountすることとします。
(root権限で無くても良いのだがuid,gidを指定することで、rootホルダーがマウントするとmyuserのユーザーホルダに権限が変化してマウントされるのでそれを確認するためです^^;)
sudo nano /etc/fstab
以下のように表示(例)されるので最後の行を追加
UUID=B88A62D38A628E26 /mnt/samba/hdd auto nofail,uid=1000,gid=1000,umask=002 0 3
proc /proc proc defaults 0 0
PARTUUID=ea92b713-01 /boot/firmware vfat defaults 0 2
PARTUUID=ea92b713-02 / ext4 defaults,noatime 0 1
# a swapfile is not a swap partition, no line here
# use dphys-swapfile swap[on|off] for that
UUID=B88A62D38A628E26 /mnt/samba/hdd auto nofail,uid=1000,gid=1000,umask=002 0 3
[上記 UUIDの行の解説]
通常
UUID=B88A62D38A628E26 /mnt/samba/hdd auto default 0 0
のような簡単な書き方をしてマウントしてしまうと、マウントの中はすべてroot権限になってしまって何かと不便です。それなので細かくuid,gidを指定してマウントする。
左から説明すると
デバイスファイル名:UUIDは blkidで調べたマウントすべき物のUUID。””をつけずに入力
次はマウントポイント
次の autoはファイルシステムの種類 ntfsなのでntfsと書いても良いがautoにすると自動認識となる。
次はマウントオプション
nofailはマウントポイントのマウントに失敗してもブートは続行という意味。
知りませんでした!以前は無かった新しいもの??エラーを出さずに読み飛ばしてくれる(必須かも)
uid, gidは誰としてmountするか指定出来る。これでrootホルダでもmyuserになれるはず。
次はumaskで、新しくファイルを作成する際に、許可しないビットを示すもの。
普通、ファイルの新規作成時はファイルの実行ビット (eXecute) は立てないので、
umask が 022 ということは、666(rw-rw-rw-) から 022 を引いた 644(rw-r–r–) というパーミッション
で新規ファイルが作られることになる。
umask が 002 なら 664 、 umask が 000 なら 666 となる。
次のゼロはdumpフラグ、1であればdumpコマンドによるバックアップの対象になる。etx2/3は1を指定し、その他は0を指定
最後は、fsckがチェックする順番
これで、誰でも読み書き出来るSamba共有は完成!!
ただ、今回は解説なしですが他のマシンからSambaにアクセスできるようにファイアウォールの設定の変更は必要です。
smbd | ファイル共有、プリンタ共有などのSMBサービスを提供。待機ポート番号は139/tcpと445/tcp |
---|---|
nmbd | NetBIOSのネームサービスを提供。待機ポート番号は137/udpと138/udp |
ついでにPassword認証もやってみよう!
Sambaでパスワード認証する
これらは、他のサイトに詳しく書いてあるのでササッと簡単に参ります。
1.Sambaにアクセスするユーザーを作成します。
ユーザーはとりあえず今ログインしているmyuserにします。
パスワードを聞かれてきますので入力します。
$ smbpasswd -a myuser
New SMB password:
Retype new SMB password:
Added user myuser.
<参考資料>
尚、Sambaは、Linuxのユーザー認証とは異なる認証システムを持っている。
新規ユーザーにSambaパスワードを設定するには、smbpasswdコマンドでLinuxとは別にパスワードを設定する必要がある。Sambaにはパスワードを同期させる機能もあり、Sambaで変更したパスワードをLinuxに自動的に反映することもできる。
この機能を利用するためには
$ sudo nano /etc/samba/smb.conf で開いて、
[global]セクションに以下の記述を追加する。
unix password sync = Yes
passwd program = /usr/bin/passwd %u
まあ、同期する必要があれば追加してください。
2.Sambaの設定を開く
$ sudo nano /etc/samba/smb.conf
[Share]以下を修正する
omment =Share
path = /mnt/samba/hdd
force user = myuser
security = user
force group = myuser
force create mode = 0665
force directory mode = 0774
guest ok = no
read only = no
browseable = yes
writable = yes
hide unreadable = yes
3.再起動
Sambaサーバでは次の2つのサーバプロセスsmbdとnmbdがサービスを提供してる。
まずは
$ sudo service smb restart
で sambaを再起動するのだが、nmbdはそれで一緒に再起動するのかどうかよく知らない。
なのでその後に
$ sudo service nmbd restart
として、こちらも一応再起動させておいたほうが間違いがないので実施してます。
WindowsネットワークにLinuxが表示されてもアクセス出来ない場合
Windows 11 のエクスプローラーからLinux上のsambaサーバーにアクセスしようとするが
「この共有に対するアクセス許可がありません」というメッセージが表示されてアクセス出来ない場合の対処。
1.Win + R で検索ボックスを出して
名前の欄に gpedit.msc と入力
2.ローカルグループポリシーエディターが立ち上がるので
[コンピューターの構成] >> [管理用テンプレート] >> [ネットワーク] >> [Lanman ワークステーション]
を選び、その中の安全でないゲストログオンを有効にするをダブルクリックして表示させる。
「有効にする」にチェックを入れて「適用」ボタンを押す。
その後、それらを終了させる。
3.Windowsを再起動する。
これで、ネットワークのコンピューターからパスワード認証の画面が出現!!
おいおい!!Windows11になって余計な設定変更をしないでほしい!!
これがわかるまでに随分と時間を費やしてしまったじゃないか!!
これは覚書として残しておかないとまた次も悩みそうです・・・
Windowsネットワークに表示される時とされない時があり、安定しない場合
現在のWindowsバージョン23H2では、SambaでWindowsネットワークに表示されない、または表示しても次に開くと消えている等の不具合があるようです。非常に安定していません!!
Sambaサーバーを再起動して直後はネットワークに表示するのですが、時間が経つと表示が消えているようならWindowsが原因です。
以下のようにネットワークを開いて直接 \\192.168.1.130のように目的のパソコンのアドレスを入れてみて下さい。それで開けるようならSambaサーバーは正常に動いています。
そのような状況ならWindowsに問題があります。気長にWindowsの不具合の修正を待つしか今のところ手がないようですョ。その時はアドレスのリンクを作って直接呼び出して使用しましょう。